先日の記事で、授業における発問の仕方などを簡単に書いたのだが、☟
今回は、私が以前(6年ほど前)twitter上でつぶやいた授業風景を再現したいと思う。
これはその当時の私の実際の授業とほぼ同じだ。
実際、どのように発問をして生徒に知識をインストールしつつ、いかにして「考えさせる」かを意識しながら授業を行っているつもりだ。
まあ、スタイルは日々更新されているものなので、今の時点の私の授業スタイルと完全に一致しているわけではないが、方向性は変わらない。
それではどうぞ。
私「今日は“不定詞”という単元をやります」
私「英語には必ず形があるね。例えば、“進行形”っていったら、はい、Gさん、何だっけ?」
Gさん「be動詞+~ing 」
(つっかかった場合はひたすらツッコミます)
私「うん、そう。」
私「で、当然“不定詞”も形が決まっていて、“ to + 動詞の原形”で表します」
(ちなみに、板書しながら教える際に「不定詞の形は?」ということを何度も聞いて答えさせます。本当に何度も。)
私「で、不定詞には基本的に3種類の用法があります。」
(基本3用法をさらっと板書)
私「で、まずこの中の名詞的用法ってヤツからやっていきます」
I like tennis.
I like to play tennis.
私「まず、上の文は?」
A君「私はテニスが好きです」
私「じゃあ、下の文。主語は?」
A君「私は」
私「うん。じゃあ動詞は?」
A君「好き」
私「OK。で、その後に“テニスをする”がきてるね」
私「“私は 好きです テニスをする”」
私「これ日本語ヘンでしょ?日本語的に上手くつなげるにはどう訳せばいいの?B君」
B君「私はテニスをすることが好きです」
私「そう!“~すること”って訳すと日本語的に上手くつながるよね」
私「で、上の文と下の文を比べればわかるけど tennis の代わりに to play tennis がきてるね」
私「tennis って、品詞何だっけ?C君」
C君「名詞」
私「そう。この to play tennis はカタマリで“名詞”の役割をしている訳だから“名詞的用法”って呼びます」
私「じゃあ、この文」
To eat breakfast every morning is very important.
「この文の動詞は何だろう。見たところ動詞らしきものが2つあるね。何と何?A君」
A君「eat と……」
私「動詞には2種類あったでしょ?何と何?」
A君「あ、一般動詞と be動詞」
私「be動詞全部言って」
A君「is/am/are/was/were」
私「OK. じゃあこの文よ~く見てみてよ」
A君「あ、is」
私「うん。この文には一見eatとisの2つの動詞があるように見えるよね」
(本当は前の文もだけど)
私「で~も、to+動詞のことをなんて呼ぶんだっけ、Fさん」
Fさん「不定詞」
私「そう! to+動詞は不定詞って呼ぶんだった」
私「動詞に to が貼り付いた瞬間に不定詞になる。つまり動詞じゃなくなるわけ」
私「で、何度も言ってるけど英語の絶対ルール。英語では一文中に動詞は何個?B君」
B君「1個」
私「そう!1個しか置けないんだった。でもこの文では動詞っぽいものが2つあるでしょ」
私「でも、動詞にtoをつけると動詞じゃなくなるの!」
私「“不定詞”っていうものに変わっちゃうんだ」
私「だからこの文はちゃんと動詞が1つに保たれているってわけ」
私「で、この文に話を戻すと、まず、英語は主語の後に何が来るんだっけ?A君」
A君「動詞」
私「そう!動詞だったね。で、動詞には何と何があるんだっけ?A君」
(A君気に入られちゃって可哀想)
A君「一般動詞とbe動詞」
(勉強が苦手な生徒には何度も同じことを聞きます)
私「そう!じゃあこの文の本物の動詞は何だ?Eさん」
Eさん「is」
私「そう!で、英語では主語の後に動詞が来るんでしょ?」
私「じゃあ逆に動詞の前には何がきてるはずなの?Gさん」
(A君を指すと見せかけて)
Gさん「主語」
私「当たり前だよね。」
私「じゃあもう一度聞くけどこの文の動詞は何だっけ?A君」
A君「is」
私「そうだね。ということは、動詞の前が主語なんだから is の前が全部カタマリで主語になってるんだよね。」
To eat breakfast every morning / is very important.
(isの前にスラッシュを入れながら)
私「で、主語は“~は・が”って訳すよね。じゃあ、この文なんて訳すの?Fさん」
Fさん「毎朝朝食を食べること / はとても重要です。」
(英語の下に下線を引いて、日本語訳を対応させていきながら板書)
私「そうなるね。で、この文ではTo eat ~が主語になっている」
私「はい!主語になれる品詞は何だっけ!Dさん!」
Dさん「名詞」
私「そう!だからこのto不定詞も“名詞的用法”ね」
私「だから名詞的用法は、“~すること”って訳して、主語になったり、動詞の後にきてその動作の対象になる語になるんだけど、ちなみにそういう語のことを何ていうんだっけ?じゃあ、Fさん」
Fさん「……」
私「まあ、文型はまだ本格的にやってないけど、この言葉は何度も出てきてるでしょ。」
私「じゃあ、Gさん!」
Gさん「目的語」(ドヤ顔で)
私「そう!目的語だったでしょFさん!」
Fさん「あ~!」
私「だから、名詞的用法は主語になったり目的語になったり(あと補語)になったりして“~すること”って訳します」
(この後want to ~などよく出てくるものを板書)
後は、雰囲気を見ながら日本語⇒英語もやったりもします。
1回の授業で、名詞的用法だけにするか形容詞・副詞的用法まで全部やるかはその時によります。
副詞的用法を教える際にも、英語から入って、
I went to the store to buy some eggs.
主語と動詞(述語)を訳させて、
「私はその店に行った / 卵をいくつか買う」
日本語で上手くつなげるにはどのように訳せば良いのかを生徒に答えさせます。
He was happy to hear the news.
これも同じです。
主語と動詞(述語)を訳させて、
「彼は嬉しかった / その知らせを聞く」
日本語で上手くつなげるにはどのように訳せば良いのかを生徒に答えさせます。
要するに、主語+動詞をガッチリ掴めば、英文の意味が自ずと見えてくる、ということを何度も強調します。
私が中学生に英語を指導する際に最も重要だと考え、意識していることは、語順と名詞・形容詞・副詞の働きを完璧にマスターさせることです。
後、カタマリの作り方。
ここら辺をしっかりマスターしておけば、大学受験になっても困ることはありません。
・・・というツイートを6年前にしていたのだが、なんともハタ迷惑な話だ。
(ちなみに、現在は twitter はやっていません。鍵をかけて放置してます)
私は、生徒の脳ミソに直接ノミで知識を打ち込んでいく、というイメージで授業を行っている。
具体 ⇔ 抽象 を常に行き来しながら発問をしていき、生徒に「考える力」を植え付けていくという手法だ。
その際に、色々なこだわりがあるのだが、それは次回以降にまわします。
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