少し前の話になるのだが、中1の生徒が「代名詞」の単元を演習していたときに、こんな問題が出てきた。☟
まあ、belong to ~ という熟語は中学校に入りたての生徒さんにとっては難しいものなのかもしれないが、ヒントも含めてよく見れば、全部同じ問題だということがわかると思う。
(いや、よく見なくてもかな…。ちなみにヒントは本来ページの一番下の離れた場所に書いてあるので少し気づき難いかもしれない。しかし、総じてこういった「型が見え難い」タイプの生徒さんは、ヒントを「見ない」傾向にある。真横に書いてあっても「気付かない」ということもざらにある。後述するが「見る力」とも関連があるのであろう…)
…のはずなのであるが、その生徒さんは、問題の意味があまりよく分からなかったらしい。
(ちなみに、この問題集を解かせたのは、他のテキストの代名詞の単元を2~3周くらいした後の話です)
少し説明した後に再度チャレンジしてもらうと、「ああ、そういうことか」といった感じで進んだのであるが、やはり、問題4.で躓いてしまった。
他の問題と聞かれている方向が逆になっただけで、実は全く同じ問題であるということが見抜けなかったらしい。
左から順に目で追っていく、あるいは上から順に目で追っていくということをせずに、丸々1個の「画像」としてテキストを見てしまっているというイメージなのであろうか。
この生徒さんは成績的には寧ろ優秀な生徒さんなのであるが、授業中もこちらがテキストを使って説明している際に、その場所を見失ってしまうという場面がしばしばある。
耳から入ってきた情報と、テキストを見るという視覚的な情報を関連付けながら同時に処理をするということが苦手なのかしれない。
ここら辺は地道に対応していくしかないだろう。☟
こういった「見る力」や「聞く力」といった「認知能力」に関して、最近非常に共感できる内容の本があった。
既に読んだことがある方もいらっしゃるかもしれない。
『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治)
という本なのだが、最近テレビなどでも紹介されているようなので数か月前と比べると、Amazonでのレビュー数も格段に増えていた。
内容的には、塾講師の立場から言うと「これはよくあるな」という話が多い。
私が大好きなYoutuberであるFさん(Fラン大学就職チャンネルさん)も「既視感が凄い…」的なことをつぶやいていたと思いますし。
ともすれば、自分にも当てはまっているなという話もありますし… (´・ω・`)
「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリ」「処理速度」
という学習の土台となる認知機能を鍛えていくトレーニングなのであるが、良く工夫されているなと感じた。
(ちなみに、私の授業ではこれらの能力を向上させるために生徒に常に働きかけているつもりだ。先日「オウム返し」が出来ないという話を書いたが、これは主に「ワーキングメモリ」を鍛えるためのものだ。視覚的な「構造」に度々言及しているのは「言語理解」と「知覚推理」を鍛えるためともいえる)
主な認知トレーニングの例を挙げると、
・写す「点つなぎ」
これは私も苦手です… (-_-;)
字が汚いのはこういった側面もあるのかもしれません…。
・覚える「最初とポン」
【出題者が3つの文章を読み上げ、対象者に最初の単語だけを覚えてもらいます。
ただし、動物の名前が出たら手を叩きます。】
例.
サルの家には大きなツボがありました。
大急ぎでネコはそのツボの中に入ろうとしました。
ツボを壊そうと犬が足で蹴りました。
(答え) サル、大急ぎ、ツボ)
傍線:サル、ネコ、犬 で手を叩く
といった具合だ。
う~む、かなり鍛えられそうだ。
正直、小学校の低学年からこういったトレーニングを積み重ねることはかなり有益だと思う。
Amazonでは数種類の「コグトレ」本が同じ著者によって書かれているようなのだが、状況に応じて使い分ければよいであろう。
「聞く力」を鍛えることが学力の向上に直結することは一貫して述べてきたことである。☟
(ちなみに、この本は、重大な犯罪を犯した「非行少年」のエピソードしか書かれていないのであるが、誤解してほしくないのは、彼らが「特別」な存在だという訳ではないということだ。Fさんのつぶやきにもあったように、Fラン大学の学生にも同じような状態の生徒さんはいる。そして、Fランといえども大学生である限り、能力的には総人口の中央値付近のボリュームゾーンに所属している生徒さんたちが大半だ。決して他人事ではない。そもそも「能力」や「学力」などはシームレスにつながっているものである。明確な線引きなど出来るはずがない。程度の差こそあれ、誰もが抱えている問題だと言える。最近、そういったことを考える機会が多かったので、上述の本を紹介させて頂いた。)
ちなみに、belong to ~ といえばこの曲です。☟
最初に挙げた問題を生徒に解かせている時に歌の歌詞としてよく出てくるという話をしたのだが、「I belong to you.」という英文の意味を聞いて「気持ち悪い」という反応が返ってきた…。(^_^;)
まあ、そういうお年頃なのだろう。
それにしても、平易な英文で聴きやすい英語だ。
この曲の中のピアノの音は、当時レニーの娘さんが弾いていたおもちゃのピアノをそのまま曲に使用したとライナーノーツに書いてあった記憶がある。
Lenny Kravitz といえば、この曲が有名ですね。☟
みのもんたの朝の情報番組のオープニングで使用されて世間的にも知られるようになったのではないでしょうか。
今でもたまに聴きます。
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