前回の記事☟に続いて理社と通常の英数を見ていきたい。
理科
今年は単元別にみると予想がつきにくい側面もあったが、問題の難易度としてはH29年以降変化はない。
個人的に驚いたのは、2019年の追試で出題された「天気」の「水蒸気量」や「雲のでき方」などが変わらずに出題されたこと。
「天気」の範囲では、若干正答率の下がりそうな問題が2問あった。
イオンも単元として変わらずに出題された。
例年の順番を崩さない結果となったわけだが、大問3の生物分野と、大問5の物理分野では例年の順番を崩してきた。
とはいっても難易度はそれほど高くない。
大問5の問4の記述は若干書き難かったであろうが、問題文の流れを逆にして書いていけば部分点は貰えるだろう。
それでは、大問別に見ていく。
大問1 小問集合
問1
いきなり面食らった生徒もいただろう。
チャートと石灰岩の見分け方の問題だが、その硬さまで頭に入っている生徒は少数派かもしれない。
しかし、うすい塩酸をかけたときに溶けるということから硬さの違いを推測することは出来る。
(勿論、硬さにも言及している参考書なども多い)
今後、重要なポイントとして中間期末や北辰テストなどでも出てきそうだ。
問2 問3 簡単
問4 普通
問5 問6 簡単
問7
計算問題としては簡単
問8
平行四辺形の対角線を利用した分力を作図する問題だが、これまた普通
大問2 中2天気
問1
昨年の追試で全く同じ答えの問題があった。
問2
これも寒冷前線付近の上昇気流のでき方としては普通。
問3 若干書き難い
ニュースサイトなどで雹(ひょう)のでき方などが開設されている場合があるが、それよりはハードルが低い。
通過率が気になるところ。
問4(1)(2)ともに 普通
(1)は飽和水蒸気量曲線のグラフがイメージできれば全く問題なく解けるレベル。
この手の問題を解くときには必ずグラフを描いて説明してきた。
(2)の方が寧ろ簡単かもしれない。
常識で解けるレベルの問題。
問5 若干ムズイ(かも)
ただ、これも問題文を普通に読んでいれば正答できるだろう。
本番のプレッシャーの中、冷静さを保てたかどうか?が分かれ目だろうか。
大問3 中1植物
問1 普通
問2 葉の付き方 普通
問3 問4 簡単
問5 日本語力が試される問題
難易度としては易しめ
問6 普通
蒸散量の計算問題のド定番
この手の問題では情報を視覚化して整理すれば普通に正答できる。
大問4 中3イオン
問1
硫酸+水酸化バリウム→水+硫酸バリウム の化学反応式の問題
定番の2つの中和反応の式は必ず書けるようにしたはずなのだが、どうだったのだろうか?
少なくとも、学校選択問題の受験者なら確実に正答したい。
問2 簡単
問3 若干ムズイ
ただ、硫酸バリウムは沈殿反応なので水に溶けず、イオン化しないというのは、グラフ問題でも定番となりつつあり、実際にそういった問題に何度も触れてきた。
イオンがないと電流が流れないというのも定番。
部分点は稼いでおきたいところか。
問4
問題で問われていることの意味が分からなかった受験者がいそうな問題。
これまた、学校選択問題の受験者なら確実に正答したい。
問5 普通
イオンは今年大問として予想される範囲だったので、厚めに演習してきた。
どうだったのか気になるところではある。
大問5
久しぶりに音が出題されたことで一部で騒ぎになっているらしいが、問4の記述問題を除けば問題自体は至って標準レベルだ。
その問4も前述のとおり、問題文の逆コースをたどって書けば部分点は貰えるだろう。
問1 若干ムズイ(かも)
ヘルツの計算はことあるごとに演習してきた。
「普通」の受験生には難しく感じたのかもしれない。
問2 問3 簡単
問4 若干ムズイ
ⅠとⅡは右ネジの法則と、磁石の反発を組み合わせて考える問題だが、冷静になれば解ける。
試験会場で冷静さを保てたかどうか?が分かれ目。
Ⅲは今回の問題で一番正答率が低いと予想される問題だ。
ただし、問題文にわざわざ「逆のしくみ」と書いてあるのだから、それに従って逆のプロセスを書けばよい。
若干、地頭の良さを要求される問題か。
問5 普通(ややムズイ)
一見難しそうだが、中1レベルの数学の方程式の文章題が解ければ問題なく解ける。
こういった問題で、思考停止を起こしてしまう生徒が世の中に少なからず存在していることは重々承知している。
しかし、学校選択問題の受験者なら(以下省略
なんだか、理科は簡単だったようなことを書いたが、実際には部分部分で削られてそれほどの高得点は望めないだろう。
平均点自体はあまり変わらないような気もするが。
社会
大問1
問1 問2 簡単
問3 若干ムズイ
とはいえ、冷静に大陸の模様を読み取ればいける。
問4 簡単
問5 簡単
埼玉県はいつになったら、他県並みの資料の読み取り問題を出してくるのだろうか?
まあ「すべて選べ」となっている分、ハードルは上がるのかもしれないが。
大問2
問1 ド定番の「やませ」
問2 ド定番の雨温図
問3
「扇状地は水はけがよく果樹園に利用される」というテンプレ問題
問4
これまたド定番の各都道府県の農産物問題。
基本知識が頭に入っていれば問題なく解ける。
問5 普通の地形図の問題
大問3
問1 卑弥呼 が書けたか?
問2 簡単
文化史は本当に基本的なことが問われる。
問3 普通
世界史分野が頭に入っていない生徒もいるが、これはかなり基本的な問題。
かなり、ザックリした知識で解ける。
問4 簡単
室町時代の生活だが、こういう社会史になると正答率は落ちるものなのだろうか?
問5 普通
「武家諸法度」と「大名」の定義
「大名」は「1万石以上の武士」というのは『歴史のねた』のCDを聞いていれば問題なかっただろう。
大問4
問1 普通
並び替え問題だが、年号を覚えていなくても論理的に考えれば正答できる。
問2 若干ムズイ(かも)
「孫文」は書けても「南京」とその位置で間違えた生徒がいるかもしれない。
後の日中戦争において「南京事件」が起きる前提となっているわけだが、そういったことを結び付けて考えられないと厳しかったのかもしれませんね。
こちらも正答率が気になるところ。
問3 普通(少しムズイかも)
「満25歳以上の男子」はイケたと思うが、「加藤高明」を選べなかった受験生が多そうな予感。
「原敬」率が高そうな気がする。
問4 若干ムズイ
ウの「大政翼賛会」の選択肢を選んだ受験生が多そうな予感。
ただ、1945年のGHQの民主化政策として「民法改正」が入っていたのは基本事項だ。
これまた、冷静さを保てたかどうか?がカギになったであろう。
問5 簡単
「声明」なのか「宣言」なのか迷ったかもしれない。
大問5
問1 普通
この問題が出たのはここ数年で3回目だ。
埼玉県の社会は過去問演習が何より大事だと言い続けてきたのだが(実際、今年も例年のコピーのような問題が多数出題されている)、答えがあっているかどうか?だけでなく、しっかりと問題そのものに対峙していれば楽に解ける設問だといえるだろう。
とはいえ、正答率は若干低めか。
問2 ムズイ
「すべて選べ」という形式が、問題の難易度を上げている。
裁判員制度関連が出題されたのは2度目だ。
「重大な刑事事件の第一審のみ」というのは何度か出てきた。
エの「民事事件では」を見落として(というか、よくわからずに)、弁護士を国の費用で雇うことが出来ると考えた受験生は多そうな予感。
(ちなみに、国選弁護人は「刑事事件」の裁判での話です。)
オも「すべての裁判所に違憲審査権がある」というのはよくあるポイントではあるのだが(最終判断を下すのが最高裁判所)、「憲法の番人」や「違憲立法審査権」といったワードだけ覚えていた生徒には厳しかったであろう。
受験本番の精神状態で正答を導き出すにはかなりの実力を要したのではないか。
これまた、正答率が気になるところだ。
問3(1)普通(2)簡単
比例代表制の説明のド定番
問4 簡単
「独占禁止法」と「公正取引委員会」はセットだ。
問5 若干書き難いか
とはいえ、公開市場操作の説明問題で埼玉県では既出である。
過去問をしっかりやっていれば問題なく正答できたであろう。
問6 若干ムズイ
とはいえ、労働基準法で週40時間労働が定められているというのは、電話帳をやっているときに出てきた。
知っている生徒も多かった印象だ。
問7 若干ムズイ
Ⅰの社会保障制度は問題ないが、Ⅱの介護保険制度が強制加入だということは大人ならば常識だが、一般的な中学生にはピンとこないのかもしれない。
問8 普通
京都議定書とパリ協定は何度も言ってきた。
特にパリ協定はグレタさんネタで口にする機会が多かった気がする。
一般的な中学生の正答率がどの程度なのかは気になるところ。
大問6
問1 この顔(というか髪型)を忘れる中学生はいないであろう
ザビエルさん
問2 少しムズイ
とはいえ、スペインがインカ帝国(ペルー)やアステカ帝国(メキシコ)を征服したことは有名であるし、「ヒスパニック」がメキシコ国境からアメリカに押し寄せていることも普通に生きていれば知りえる情報だ。
ブラジルがポルトガル語だということも基本事項なので、実際には正答率は低くないのかもしれない。
問3 普通
年号を覚えていなくてもザックリとした時代感覚で解ける。
問4 普通
長崎県が北海道に次いで海岸線第2位なのは基本事項。
問5 少し書き難い(かも)
とはいえ「地方交付税交付金」の定番問題ではある。
総括すると、社会の難易度は例年通りといったところだろう。
高得点を取れる生徒は取れるという至極当然な結論しか出ない。
英語(通常問題)
ザックリと書く。
大問2
曜日と月は書けるようにしましょう。
大問3
問5の英問英答が若干正答率が低い予感。
ask ~ to 動詞の原形 の構文をつくれたどうか?
本文からそのまま引っ張ってこれなかったので、普通の受験生にはハードルが高かったことが予想される。
大問4
問5の並び替え問題では普段から文型(文構造)を意識できていたか?がカギとなったであろう。
ムチャクチャな語順を書いた生徒もいそうだ。
問7の自由英作文は普通の受験生にはキツイ。
問8の正答率はかなり低いと予想する。
至って普通の英問英答なのだが、時制の概念が入ってくると途端に正答率が落ちる。
特に、未来に関してその傾向が顕著になる。
通常の学力検査問題は上の層がいないので、正しく書けた生徒は少ないであろう。
大問5
問題形式が少し変わったが、難易度としては易しめ。
総括としては、2題ほど解き難い問題もあったが、例年通りと言ってよいだろう。
数学(通常の問題)
大問1 出題数が増えた。
(15)の中央値の問題は若干正答率が低いか?
(16)の標本調査の説明問題は普通の受験生には厳しいのかもしれない。
大問2
拍子抜けするほど、基本問題が並んでいる…。
とはいえ、偏差値が50に満たない生徒にとっては証明問題などは難しいであろう。
大問3
ここは差がつく問題。
ド定番の相似問題ではあり、H24の焼き直し問題ではあるのだが、普通の受験生にとっては若干ハードルが高かったのかもしれない。
(2)は学校選択問題に親切にも図を予め書いてくれた問題形式となっているが、それでも普通の受験生には少しハードルが高かったことが予想される。
大問4
(1)以外は全滅という生徒が大半であろう。
(2)の正方形となるときの点Pの座標はド定番問題ではあるが、普通の受験生には少々難しい問題だと感じられるのかもしれない。
文字置きするというだけでパニックになる生徒がいるが、そういうアレルギーを短期間で克服するのは困難だ。
(一次関数の問題だというだけで、問題も読まずに飛ばす輩もいるくらいなので…)
(3)はそういった意味では完答は難しいだろう。
間違った先入観に頑なにしがみつくというのは、勉強が苦手な生徒の特徴の一つと言えるのかもしれない。
(これは、「卵が先か?鶏が先か?」問題に絡んでくる話ではありますが…)
小問の数が増えたことで点数は取りやすいが、差がつく問題で全滅を避けられたかどうか・がポイントとなりそうだ。
・・・と、ところどころ軽く毒を吐きながら2020年の埼玉県公立高校の問題を振り返ってみた。
日付が変わって本日合格発表を迎えることとなったが、どうなるのだろうか?
正直、嫌な予感がしてきた。
杞憂であることを祈るが…。
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