2020埼玉県公立高校入試問題総括(国数英【学校選択】)

2020年の埼玉県公立高校入試問題を解いてみた。

科目別に感想を述べていきたいと思う。

ちなみに、理社と通常問題の英数の総括はこちら☟


国語

問題文自体は小説、説明的文章ともに比較的読みやすかったと思う。

小説では、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』をモチーフとした場面が切り取られていた。

(ちょうど、先日書いた記事で『攻殻機動隊(SAC)』のことを話題に出したが、実はその中でもサリンジャーがモチーフがモチーフとして使用され引用されている。少し懐かしく感じた。)

問題の難易度としては例年より若干高めだったように思う。

大問1

問1でいきなり引っかかった受験生もいたのではないか?と推察される。

設問を解く上での大前提である「傍線部箇所の前後をよく読んで文脈を捉える」ということがしっかり実行できたかどうか?がカギになったであろう。

問2も若干書き難かったのではないだろうか?

少し自分の言葉で編集し直す必要があった。

問3、問4は普通。

問4は文字数は長めだが、問題文のパッチワークで十分いける問題だ。

問5も少し面食らった生徒がいたかもしれないが、問題文に書いていないことを除外していけばよいので、消去法でいけたと思う。

大問2

漢字・文法ともに易化した印象。

ただ、問4(3)の「拝啓」⇒「敬具」は一般常識のような問題で、学校の授業で扱われていればできたであろう。

どうだったのだろうか?心配だ…。

大問3

「自然」という言葉の意味を問題文の通りに解釈できたか?

「答えは全て本文に書いてある」という読解問題の基本に忠実な印象だ。

問1、問2ともに普通。

問3は若干まとめ難かったかもしれない。

問4もオーソドックスな問題。

本文に書いてあることを除外していけば選ぶことが出来る。

問5は要約問題のような構成になっていた。

恐らく「普遍的」という言葉がどこに書いてあるのかわからずに戸惑った生徒もいただろう。

今回は、説明的文章というよりも論説文に近い内容だったように思う。

抽象度が増し、具体例や言い換えを掻い潜りながら筆者の「主張」を読み取る必要があった。

2019年の追試からの流れなのだろうか。

大問4

問題文自体は短く比較的読み易かった印象だが、問2、問4で落とした生徒がいたのではないか?と思う。

特に問4は、エとオで迷った生徒が多かったのではないか?

これまた、問題文に書いてあることが正解であり、冷静に問題文を読み直せば答えられるのだが、そこまでの冷静さが果たしてあったのかどうか?

心配だ…。

作文

2段落構成の指定があった。

それ以外は普通。

全体としては解き難い問題も多く、恐らく平均点が下がりそうな予感。

上位層にどれほど影響があったのかが気になるところ。


数学(学校選択)

かなり易化した印象だ。

大問1

(2)(3)あたりで計算ミスをしている生徒がいそうな予感。

(8)は、合計=平均点×人数 という基本と、中央値を考える際に具体的に書き出してみて半分に分割して視覚的に捉えてみれば出来たと思う。

(9)は記述が書けたかどうか?

「無作為に」というキーワードの問題だ。

(この場合「ランダムに選べる」でもよいとは思うが)

確率でも「同様に確からしい」という言葉が問われる場合もある。

ただ、こういう言葉は「試験に出るから覚える」という類の話ではないような気もするが…。

大問2

(1)の作図では接線の作図が出た。

教科書の定番問題だが、これを塾の授業で扱ったときに

「これ今日学校でやったんで~」とこちらの説明を潰しに来た生徒がいたことを思い出してしまった。

その生徒は描けたのだろうか?

(2)は平行四辺形になることの証明だ。

近年で2回目。

2直線が平行となるための条件をしっかり書けたかがポイントだろう。

(しかし、学校選択の問題としては簡単だ。)

(3)は簡単

(4)も自分で図を描いて情報を書き込んでいけば普通に解ける。

二等辺三角形になっていることに気付けたかどうか?が唯一のポイント。

大問4

かなり易化

というか、去年、一昨年と埼玉県の関数は、どの問題集にも載っていそうなド定番問題になってしまった。

2018年、2019年の流れで面積比の問題が出てくると予想していたが、思った通りだった。

(2)は正方形になるときの点Pの座標を求める問題だが、ド定番。

強いていえば、y座標をスライドさせて代入する点がポイントだが、別に普通だろう。

(3)は底辺が共通な三角形の面積比の問題だが、きちんと理解していればあまり迷うことはないだろう。

上に三角形を作る場合と、下に三角形を作る場合で分けて考えるところがポイントではある。

その際、比の取り方が異なる点も。

大問5

(1)は簡単

(2)が個人的にはサプライズ

恐らく、ACをねじれの位置として認識できなかった生徒が多くいたのではないか?と推察される。

「直線」は永遠に伸びているという前提なので、線分を互いに延長した際に交わる場合も考えなくてはならない(まあ、「同一平面状」の一言で片づけられる話ではありますが…)

埼玉県発表の分析でどの程度の正答率になるのか?注目したい。

(3)は少し見難い印象

立体を切断して適切に平面に落とし込めたか?がポイントだろう。

とはいえ、ここまでで時間的な余裕はないであろうから、この問題が出来なかったとしても大勢に変化はない。

取れる問題をキッチリ取れたか?が重要であることは言うまでもない。

2020年の数学の問題は「取れる問題」の数が多かった印象だ。


英語

易化した印象

合格者平均は上がるだろう。

大問1 リスニング

例年通り

記述問題が、最後にまわったことくらいか。

昨年からリスニングのスピードが若干上がった。

過去の問題演習をする際には、スピードを1.15倍に上げるなどして演習を行ったほうが良いだろう。

大問2

問1 簡単

問2 場面に合わせた英作問題で、若干書き難かったのではないか。

教科書を隅々までしっかりやっていれば書ける問題ではあるが。

問3 簡単

英問英答のド定番。

学校選択問題の受験者でこの問題が出来なかったら寧ろ問題だ。

問4 簡単

もしかしたら、Why don't you なのか Why don't we なのか迷ったという生徒がいたかもしれない。

主語に発話主を入れるかどうか?を考えればすぐにわかることなのだが、英語を暗記科目だと思っている生徒からすると中途半端な知識が逆に足枷となったかもしれない。

問5 若干ムズイ

とはいえ、普段から文構造を意識して英文を読み書く習慣があれば問題なく解ける。

spend の後に時間を表す言葉(time)を置くという発想に至ったかどうか?がポイントだろう。

問6 普通

問7 若干ムズイ

間接疑問文の問題だ。

疑問詞がカタマリになる点がポイントか。

こういう「文脈に沿って入る文の意味も考えながら英文を組み立てる」というタイプの問題を苦手にしている生徒は少なからずいる。

ただ、学校選択問題を受けるレベルの生徒であれば確実に正答しておきたい問題ではある。

大問3

問題文自体は難しい単語もなく比較的読み易かったと思う。

問1 普通

前後の流れを考えればいける。

問2

疑問詞が主語になっている疑問文の答え方。

今回は、受ける主語が複数となるので述語動詞が were となるところがポイントか。

以前、全く同じパターンの問題を当塾の塾生2人が解いた時に、うちのエースさんは見事に英問につられて、単数で受けてしまっていた。

本番ではどうだったのだろうか?

問3 若干ムズイ

若干ハードルは高いが、普段から文構造を意識して、文全体の主語+動詞を捉えるような読み及び書きをしていれば大丈夫だろう。

とはいえ、作問上の問題から、実はよくわかっていなくても正解してしまうという問題構成になってしまっている。

というのも、bring の過去形と過去分詞系が同じなので間違って過去形を書いたとしても正解となってしまうからだ。

この大問3の中だけで、受動関係となる問題が3問あった。

変な勘繰りをする生徒は間違えたのかもしれない。

問4 普通

最後の名詞に繋げる所有格の使い方も問題ないだろう。

問5 若干ムズイ

この問題は、this という指示後の受けの問題なのだが、問題文通りに忠実に答えをつくると、なんだか物足りない解答となってしまうため、余分なものを入れてしまった生徒が多かったのでないか?と推察される。

学校側がどのような基準で採点したのかも気になるところだ。

埼玉県発表の英語の分析を待ちたい。

問6

(1)(3)は普通

とはいえ、2語入れるとなると途端にハードルが上がると感じる生徒が存在することも確かだ。

(2)は若干入りにくい。

これまた、普段から文構造(つまり文全体の主語+動詞)を意識できているか?が問われる。

(2)(3)ともに関係代名詞辛みの問題だった。

大問4 英作文

若干、形式が変わった。

学校選択問題にわかれてから、一貫して英作文の通過率は低い。

かつてのように事前に覚えてきたものを書くという勉強法では対応できない形式だ。

ここでは、冠詞の有無、単数複数、時制、主語動詞の受け、語順、前置詞や副詞の使い方など、しっかりとした文法的な理解と実践が何よりも重要になる。

ある程度のレベルにある生徒でも、なかなか出来ないものだ。

そういった意味での通過率の低さだろう。

対策としては教科書の本文英作を実施したうえで、様々な英作文問題に取り組めばよいと思う。

まずは、キチンとした英文が書けるかどうか?が重要だ。



ここまで書いてきて一旦、中止します。

理社は次の記事で書くこととする。

国数英の全体の感想としては、今年は学校選択問題にした意味あるのか?というレベルになっているというのが率直な印象。

勿論、生徒がどう感じるのかは分からない。

それはこちらの指導力の問題だろう。

とはいえ、受験生全体としては、合格者平均が上がることは間違いないだろう。

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