本日(と言っても昨日ですが)、中3の数学の授業でこんなことがあった。
2次方程式の文章問題で、
「ある正の数の平方は・・・」
という問題があり、とある生徒さんを指名して立式してもらったのだが、
その生徒さんは、「平方」の意味が分からなかったらしく、
「x=・・・」
と言ったままフリーズしてしまった。
今「わからない」と書いたが、実はその数分前に、その生徒さんは、
「9や16のような数字のことを何て言うんだっけ?」
という私の問いかけに対しては、シッカリと「平方数!」と答えていた。
(実は、この言葉をシッカリと答えられたのは、その生徒さんにとっては大変な進歩であったので、「おおー!よく覚えてた!」とこちらもテンションが上がった。)
…のだが、その数分後に別の問題で「平方」という言葉が出てきても、
「意味を忘れました。わからないです。」と言っている。
(ちなみに、実はこの生徒さんは記憶力は悪くない。英作のテストなどでも普通に覚えてくることが出来る。問題なのは、全てを「画像」として意味も考えずに丸暗記しようとしてしまう姿勢だ。入塾以来、そのことをずーーーと指摘し続けているのだが、なかなか治らない。そして、しばらく経つと全てをキレイさっぱり忘れるということを繰り返している。ここ数週間で少しだけ変化の兆しが見えてきたという状況だ…)
この「平方」という言葉は、中3になってから数学の全ての単元で出てきている言葉だ。
「式の展開」や「因数分解」でも出てくるし、勿論「平方根」でも出てくる。
そして「2次方程式」でも使う言葉だ。
(というか「平方根」は単元名そのものですが…)
私は「平方根」の単元を教える際に、
私 「実はこの『平方』という言葉は、皆さん既に知っています」
「『cm²』☜ コレ、何て読む?」
生徒「平方センチメートル」
という具合に導入を行うことが多い。
このようにして「既出の知識と結びつけて考える力」は非常に重要だと考えている。
件の生徒さんは、数分前に「平方数」とは「ある整数の2乗になっている数」だということを確認したはずなのであるが、「平方」の意味が分からないと言う。
そこで、
私「じゃあ、『cm』☜ コレ、何て読むんだっけ?」
(実際には、かなりヒートアップしています…)
生徒「センチメートル」
(板書しながら)
私「じゃあ、『cm²』☜ コレは?」
生徒「平方センチメートル」
私「じゃあ、この2つを見比べてみてよ。
『cm』が『センチメートル』で、
『cm²』が『平方センチメートル』
なんでしょ?」
「対応関係を考えてみてよ!」
「右肩の『 ² 』が『平方』に対応してるんじゃないの?」
「そしたら、『平方』という言葉は『2乗する』という意味だということが分かるでしょ?」
…というやり取りを行ったのであるが、数分前のやり取りも含めて、あまりにも知識が分断され過ぎていると感じる。
(実は、この数分前には、2次方程式の「係数見比べ法」を教えていたのであった…)
私は、
「インプットの段階で、わからない問題や迷う問題があれば、必ずその場で立ち止まり、解法や考え方を確認し、解説をシッカリ読むように!」
ということを、口を酸っぱくして言っているのだが、この生徒さんは未だにこれを実行しようとしない。
それどころか、
「マルバツをつけて終わり」
「自己流で解いたけど、答えが合ってたからOK」
と言った勉強法から脱することが出来ていない。
こういったことは、能力的な問題ではない。
だからこそ、極めて根が深く、深刻な問題であり、一朝一夕には改善できない場合が多い。
こんな勉強を続けていたら、忘れるのは当たり前だ。
記憶のフックが出来ない。
いつも生徒に言うのだが、「記憶に定着させるために…」という以前の話として、学習の初期段階で、自分が分からない問題や悩む問題に遭遇した時に、それを確認せずに次に進んで気持ち悪く感じないのだろうか?
例えば、服に汚れが付いてしまった場合、なるべくならその場で少しでもその汚れを落としてから次の行動に移るというのが「普通」なのではないだろうか。
汚れの種類にもよるであろうが、汚れが付いたままでも何も気にならず、平気な顔をしていられるという感覚には、あまり共感出来る部分が無い。
話が逸れたが、自分が悩んだ問題を、解説を読みながらもう一度トレースし直すことで、少なくともその場で2回同じ問題を解くことが出来る。
解説を読んだ後に、少し時間を空けてもう一度自分の手で解き直せば、その場で自分が苦手としている問題を3回解くことが出来るし、「考え方」も複数回トレースすることが出来る。
私が「解説」をするのは、「解説を読みこなすことが出来るようになって貰いたいから」だということを以前書いた。☟
この夏は、そういった「勉強に対する姿勢」をどこまで定着させることが出来るか?が勝負になる。
前途多難ではあるが、やるしかないであろう。
記事が異常に長くなってしまった上に、途中で少々脱線してしまったので、仕切り直したいところではあるが、最後に小6でのフォニックスの進捗状況を書いておく。
昨日は、「サイレントe」を扱ったのだが、最初の数分は戸惑っていた生徒さん達も、一つ一つ確認しながら進むことによって、コツを掴んでくれたようであった。
やはり、学習の初期段階においては、「一つ一つ確認しながら進める」というのが最善手であると思う。
フォニックスを学ぶ最大の利点は、無意識を意識化するプロセスにある。
ローマ字を知っていれば、「なんとなく」単語を読むことは出来る。
しかし、ルールを明確化した上で、単語を「要素」に分解し、「構造的」な「対応関係」を考え、それを再構築するプロセスこそが最も得難い瞬間だ。
それは上述したような「思考停止」とは真逆の思考回路を手に入れる一つの手段と成り得る。
そんなことを考えた1日であった。
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