よく言われることだが、
「まなぶ」は「まねぶ」と語源が同じであり云々…
または、
「守破離」という言葉通り、
「型」を身に着け基礎・基本を固め(優秀者)
土台を守りつつ応用・改良・発展させ(変革者)
独立し自分自身の道を切り開く(創造者)
ことが、何かを「学ぶ」上では欠かせない…
といった言葉を誰もが一度は目にしたことがあるのではないかと思う。
(以前サラッと書いたことがあるのだが、「守破離」という言葉には個人的にはあまり良い思い出がないのだが、それはまあ良い…)
これらの言葉は難しいことを言っているわけでは全くない。
普通に考えてみれば、自分が言語を獲得したプロセスや、社会的な行動や振る舞い方を身に着けていった過程も、まさに「見様見真似」だったことは自身の過去を振り返ってみれば誰でもわかるはずだ。
なぜ、こんなことを書いているのかと言うと、やはり、勉強をする上で「真似る」ということの重要性はいくら強調しても強調し切れないほど重要だと感じるからである。
そして、その「真似る」能力、つまり「目の前の状況をシッカリと把握し再現する能力」は、その人間の「学ぶ」力と完全な比例関係にあるといってよい。
「真似る」ことが出来ない人間は「学ぶ」ことが出来ない。☟
よく、学習の初期段階、すなわちインプットの段階で「自分で考えよう」とする生徒がいるが、こういったケースは、自分が今どの段階にいるのか?といったことを意識できていないというだけでなく、そもそも「学ぶ」ということの本質が分かっていない。
「学ぶ」ということは、目の前の現象を正確に把握し、要素に分解し、それらを自らの手で再構築し、全く同じ現象を再現するプロセスのことだ。
そこでは、「創造性」や「オリジナリティ」といったものは一切関わってこない。
「観察」「分析」「分解」「再構築」「復元」である。
その中において、どの工程においても「よく見る」という行為は必要不可欠な要素だ。
「見る意思」といってもよいかもしれない。
そこで、タイトルの話なのであるが(前置きが長い…)、
一見、同じような独創的な発想を持つ「天才」と「バカ」(恐らくここでは「狂人」と表現した方がよいかもしれない)は、何が違うのか?ということなのだが、結論から言うと、
目の前の事象(現実世界)を正確に捉え、正確に再現することが出来るか否かである。
仮に、A ⇒ B ⇒ C というプロセスが必要なタスクがあるとする。
Bの段階において、他の人間には想像もつかないような一見すると全く同じ発想を「天才」と「バカ(狂人)」が持っていたとしよう。
しかし、そこには決定的な違いがある。
「天才」は、タスクの起点となる前段階の「現実」の状況を正確に把握しトレースした上でしっかりと描写し、頭の中に(紙の上でもスマホの中でもよいですが)イメージ出来ているため、頭の中の「仮想世界」で起きた独創的なアイデアをダイレクトに「現実世界」に反映させることが出来る。
仮に途中で不具合が生じ、修正をしなければならないような状況が発生したとしても、頭の中の「仮想世界」と「現実世界」との間に齟齬がないため容易に修正が出来る。
一方、「バカ(狂人)」はタスクの起点となる前段階の「現実」を正確に捉えることが出来ていないため、そもそも自分が思いついたアイデアを上手く「現実世界」に反映させることが出来ないし、そのアイデアを自分で上手く他人に伝えることも出来ない。
(そこに登場するプレーヤーや構成要素に対する認識が間違っている可能性があるので当然ですね)
仮に、そのアイデアを「現実」に適用したとしても、あらぬ方向へと進んで行ってしまうであろう。
更に言えば、先程「一見」と書いたが、前段階である「現実」を歪んだ形で捉えている可能性が高いので、そもそもBというアイデア自体が全く異なる前提に立っており、本人は全くの別物として発想していたという可能性すらある。
それでは、その「バカ(狂人)」が持っている独創的なアイデアを、誰か別の人間が「翻訳」し「解釈」し直して上手く現実問題に反映させていけば良いのではないかということも考えられる。
それは可能であろうが、そのアイデアの持ち主の「現実」に対する「歪み」を修正し、前提条件を整理し直した上で、そのアイデアが「現実」に適応可能かどうかを判断するというプロセスが必要となるので、なかなか骨の折れる作業になるとは思う。
…と、つらつらと書いてきたが、世の中には「バカ」という言葉を不快に感じる方もいるであろうが、かの有名な養老孟司さんが『バカの壁』でも書いていた通り、世の中のほとんどの人は「バカ」なのである。
かくいう私も「バカ」の一人だ(遠い目
まあ、何が言いたいのかというと、目の前の「現実」をシッカリと「見る」ことが非常に大切なのではないかということだ。
全てはそこから始まる。
…ということを書いていたら、お薦めにこんな動画が出てきた。☟
サラタメさんという YouTuber がいるということは知っていたのだが、こうして動画を見るのは初めてであった。
非常に面白いと思いました。
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