入塾して頂いた

金曜日は数年分の災厄が1日でやってきたような日であったが、1つだけ良いことがあった。

先日、体験授業を受けて頂いた小5の生徒さんが入塾してくれた。

大変喜ばしいことだ。


単に入塾してくれたので嬉しいというよりも、基礎学力の高そうな生徒さんなので嬉しいという意味も含んでいる。

少人数の集団形式で授業を行っている以上、生徒さんが元々持っている能力や意欲に、塾全体のクオリティが左右される部分が少なからずある。


その生徒さんが問題を解いている姿を観察していると、「図を描きながら解いてね」

という指示に適切に反応し、シッカリと図を描きなきながら問題を解いてくれていた。

(この「指示を実行する」ということを、実行出来ない生徒さんが本当に多い。正直に言うと、こちらの指示通りに物事を進められる生徒さんだというだけで、相当優秀な生徒さんだと言えると思う)


こういった生徒さんは、たとえ1回目で間違えたとしても、実際に自分で手を動かして試行錯誤しているため、2回目以降の解き直しの際の正答率と理解の深さが段違いに良い。


実際、へこみのある複雑な立体の体積問題において、切り分けたり、全体から一部を引いたり、といった発想が必要な問題においても、間違えた問題に対するこちらの解説をすんなり理解してくれていた。


面白かったのは、私が中3生に対してよく言っていることと似たようなことを言っていたことだ。

具体的にはこんな感じだ。

複雑な立体の体積を求める問題で、その生徒さんがある1辺を見逃しており、その辺を掛け忘れてしまっていた。

そこで、その生徒さんは、

「この辺を無視しちゃった。」

「辺さん、無視してごめんなさい。」

と言っていた。

中々洒落たことを言う生徒さんだと感心してしまった。

…と同時に、私も似たようなことを中3生によく言うので、小学校5年生の段階で、自分のミスをシッカリと把握し、客観視できるということはとても素晴らしいことだと思う。

今後が非常に楽しみである。

(実際、前回の授業で「修正力」の片鱗を見せてくれていた。基本的に地頭の良い生徒さんなのであろう。)



中3生の話に移る。

今の中3生は「見る力」も「聞く力」も極めて弱い生徒さんが多く、日本文や英文などを読ませても、平気な顔で単語を読み飛ばしたりするケースが多い。

例えば、

He usually reads a book in his room.

という1文があるとして、

He reads a book in room.

と読んでしまうとか(別に、1つ1つの単語が読めないわけではない)、

He usually a book his room.

と読んでしまうなどということが頻繁に起こっていた。

(半年前に入塾してくれた生徒さんはこの段階は脱出しつつある。4月から入塾してくれた生徒さんはまだまだ途上段階だ。こちらの指示を平気な顔で「無視」する場面も散見される…。2人とも元々定期テストで20点~30点台の生徒さんなのだが、そういった生徒さんは、こちらの言っていることを聞き取れていないケースが全てといってよい。基本的に例外はない。まあ、それも訓練で改善できる余地はあるが…)


その際、上述のように、

「それ、その単語に対して失礼じゃない?」

「存在を無視してるってことでしょ?」

「イジメじゃない?それ。」

などと、よく言っていた(る)。


勿論、彼らが単語を読み飛ばしてしまうのは、そもそも文法的な理解が全くなく、構造的に英文を捉えられていないという側面もあるのだが、日本語においてもそういったケースが頻発しているところを見ると、やはり認知能力の低さが最大の原因なのであろう。


厄介なのは、そこに「存在しているもの」を「無かったことにしてしまう」という認知能力の低さが自分自身に向けられれば、「自分の間違い」も「最初から存在していない」という認識に至るということも容易に想像できることだ。

そこが、認知能力が低い生徒の最大の問題点なのである。


自分の間違いを認知できなければ、当然改善点も認知できない。

非常に根が深い問題だと言えるだろう。


少し前のブログで述べた通り☟、こういった生徒さんが小学生の段階で取り組むべきは、「計算ドリル」や「漢字ドリル」の類ではなく、認知能力そのものを高めるためのトレーニングだ。

私は、授業内で「オウム返し」や「構造的に捉える訓練」を積極的に取り入れることによって、「知識の習得」以前の問題である「認知能力」の向上に力を入れているつもりだが、中学生を対象とする集団授業形式の学習塾としては限界もある。

特に、恥をかくのを極度に嫌がるタイプの生徒さんには、恐らく、集団授業形式ではなく、「特別な」対応が必要であろう。



…とつらつらと書いていたら、タイトルからかなりかけ離れた内容となってしまった。

実は、中3生は入試までにはある程度まで持っていけるという算段がたってきている。

(まあ、相変わらずやる気の無さと人数の少なさは如何ともし難い状況ですが…)


一方、中2・中1は1名を除いてかなり雰囲気が良い。

特に、中2は「雨降って地固まる」といったところだろうか。

小学生を含めて、塾全体の雰囲気が向上してきていると感じられる今日この頃であった。

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