知識の分断と連続性の欠如

先日、中3の数学の授業をしていたところ、こんなことがありました。

2次方程式の問題で、

x²+ax-3a=0 の1つの解が-6であるとき、aの値ともう一つの解を求めよ。

という問題がありました。

まず、x=-6を代入して、aを求めます。

そこまでは楽勝でした。

しかし、「aを求めた後に何をすればよいのかわからない」という生徒が何人かいました。

(実は、これはよくあることなのですが…)


2次方程式の計算はスラスラ「解ける」。

2次方程式の解は基本的に2つあることも知っている。

で、aの値は出た。一つの解は最初から書いてある。

しかし、その後何をすればよいのかわからない。


まあ、初めてこの問題を解くのであれば、一瞬そこで躓くのはご愛敬で済むのですが、この問題は、3日前にすでに解説&演習済だったんですね。


正直、初めて解いたとしても、出来てほしい問題ですよね。

何故なら、新しい知識は一つもないからです。

aを式に戻してあげて、その2次方程式を「計算」して、答えを出せばいいだけです。

しかし、それが出来ない。


要するに、一つ一つの知識が断絶していて、連続性がないのです。

以下の様に言いかえることも出来ます。

一つのことを多面的に見るという発想がない。
言葉が上滑りしている


「計算しなさい」と言われたら、「解ける」

「もう一つの解を求めよ」とい問われたら、「分からない」

恐らく、今までも「計算」という単語に反応して、「答え」を出していただけで、「自分が今、何をやっているのか?」ということを考えたことが一切ない。

考えていないから、同じことを聞かれているだけなのに、少し表現が変わっただけで、途端に「分からない」となってしまう。

類似性や共通項に気付くことが出来ない。


正直、この問題に関しては、同じ2次方程式という単元内の話なので、寧ろ、気付きやすい問題なのですが(1回やっているなら尚更です)、これが単元や教科をまたいだ問題となった場合に、非常に大きなハンデとなります。


私が授業中によく言う、「思考停止を起こすな」という言葉には、「問題を解くという行為を作業化するな」という意味が込められているのですが、意味を考えずに問題演習を繰り返したところで、得られるものはほとんどないと思います。


これを直していくには、時間と根気が必要となるのですが、「あっ!前に、これと似た問題あったな」とか、「この解き方って、あの単元の問題と同じだな」とか、「理科のこの計算問題は、算数と同じだな」とか「社会のグラフの読み取りの割合の見方も、算数と同じだな」とか、「数学で具体的な数字で考えてみてから文字におきかえて考えてみるというプロセスは、国語でいくつかの具体例が一つの文に抽象化されるのと似ているな」などと言ったように、

同じ教科内だけでなく、教科をまたいで類似性や共通項を意識すると、頭の中に様々な引っかかりができて、知識が定着しやすくなりまし、取り出しやすくもなります。

問題を解くときには、常に頭を作動させて解いて頂きたいと思います。

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