何を隠そう私も「ケアレスミス」が死ぬほど多い人間なので、偉そうなことは言えないのですが(計算ミスは日常茶飯事で、テストでは自分で選んだ覚えのない選択肢をマークしているなんてことはザラにありました)、一般的に、得意なこと、つまり習熟度が高いものごとほど、ケアレスミスは少ないといえるでしょう。
ここに、「ケアレスミス」を減らすヒントが隠されています。
つまり、「ある物事が得意」で「習熟している」状態というのは、どういう状態なのか?を考えれば良いわけです。
例えば、ウサイン・ボルトはなぜあんなに速く走れるのか?
ただ何度も何度も繰り返し走る練習をしたからでしょうか?
答えはNoです。
彼がやったことは、「無意識を意識化する」ことです。
すなわち、今までガムシャラに振っていた腕の角度・位置、歩幅、ひざの高さ、あごの位置、視線、…などなど、自分が今まで「無意識に」行っていたことを、一旦全て「意識化」し、自分が最速で走れるフォームをあらゆる角度から検証し直すことです。
まず「無意識を意識化」する。
そしてその後、徹底した反復練習によって、その「意識化した動作」を体に覚えこませる。
この過程が非常に重要で、「意識化」しただけでは「頭で中ではわかっているけど体は反応してくれない」状態のままです。
そのままでは、単なる机上の空論に終わります。
その「意識化」した動作を、再び「無意識に」できるレベルまで、練習によって再構築し直すという第二のプロセスが必ず必要になります。
そうすることによって、自分の潜在能力をフルに引き出すことが出来るわけです。
ボルトで言えば、わずか9秒間という短い間に、自分の一挙手一投足、全ての体の動きを完璧に「ミス」なくコントロールすることによって、自分のポテンシャルを最大限に引き出しているわけです。
そして、これは勉強に関しても同じです。
50分という限られた試験時間の中で、自分の最高のパフォーマンスを引き出すための訓練が必要となるのです。
しかし、皆さん、ここまでやっていません。(まあ、オリンピックで戦うレベルまでストイックになる必要はありませんが…^_^;)
なんとなく「わかったつもり」「出来たつもり」になっていたり、そもそも「ルール」や「法則性」を「問題が解けてるんだからイイヤ」という理由で、一旦「意識化する」という作業から目を背けている場合がほとんどです。
これではミスは減りません。
冒頭のタイトルで「いわゆる」ケアレスミスと書きましたが、実際には「ケアレス(=不注意)」によるミスは少なく、単に、習熟度が低いために起こるミスが多いという意味をこめて「いわゆる」と書きました。
私が、授業中に「定義」や「ルール」「法則性」を生徒にしょっちゅう聞くのはこのためです。
まず、「意識化」しろ!というメッセージです。
そして週4コマと授業時間が多いのは、徹底反復するための演習時間を確保するためです。
まず、「言語化する」ことによって「無意識」を「意識化」し、反復練習によって再びその「意識化したルール」を「無意識化」する…。
仰々しく書いてしまいましたが、(^^;
まあ、そういうことを意識するのと、しないのでは、結果のみならず、練習の仕方にも大きな違いが生まれますから、とても大切なことだと思います。
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